サクッ!と猟奇歌

過去ログ3


孤独
投稿日 12月31日(日)08時21分 投稿者 知弥 削除

死んでも誰も見てはくれない。
生きてても誰も見てはくれない。
だからどうでも同じなので
私は生きて行くのです。

http://dogramagra.tripod.co.jp/




君専用の個室
投稿日 12月25日(月)23時23分 投稿者 人形 削除

2分の1に裂かれた僕と真っ赤に咲かれた君の爪あと
このまま色褪せるならいっそこの鋏で
希う僕は足の裏に刺さる無数の画鋲にさえも気付かずにいた
君の裾模様 引き摺って歩く様は××××
涙を零し 花を毟り取る君とどこまでも……

君のおかげで 僕は狂い出しそうです
人を1人狂わせることができるなんて 君は凄いですね
僕など 君の表情1つ 変えることができないというのに




無題
投稿日 12月7日(木)17時06分 投稿者 藤原真秀 削除

ダマサレルノ
ワカッテタノ

ナニガチガウ
イマノアナタト
イマノワタシ
オナジデショ

チガワナイ
チガワナイ
チガワナイ
・・・・・・・・・




エウリュディケ
投稿日 12月4日(月)00時50分 投稿者 kiku 削除

永遠に失われたエウリュディケ
肉体に封じ込められた彼女の魂は解き放たれ
触れるものすべてを黄金に変えながら
神の世界へと羽ばたく

そして

取り残され、八つ裂きにされたオルフェウスの首は
禍歌を口ずさむのだ

http://www1.ocn.ne.jp/~jupiter2/




黒い川面
投稿日 12月3日(日)13時10分 投稿者 小田牧央 削除

 二十二か、三の頃だと思う。二十四才で色覚を完全に失ったのは覚えてるから、だいたいその頃だ。壊れかけのテレビのように、ちょっとした衝撃や心の変化で、私の視界はモノクロになったり、元に戻ったりした。また、モノクロであっても、輪郭や急に明度が変わるところ、たとえば星の色はよくわかった。眼下の風景はモノクロなのに、夜空だけが依然として正常で、遠い異境の地に立つような疎外感があった。
 服を買うときも、モノクロばかりになった。いつか完全に色覚が失われることは医師から聞いていたから、自分で気付かないまま奇妙な配色の姿で外にでることを恐れたのだ。食事はひどく味気なくなった。見栄えが悪い食べ物はモノクロになると尚更グロテスクで、口に運ぶのがひどく辛かったし、味は変わらずおいしくても、なんだか目を閉じて食べているような齟齬があった。
 朝方、川に沿って歩くのが習慣になった。川といっても、ただの用水路で、増水時用に高さは二メートルほどあるのだが、水は足首が隠れるほどの深さもない。それほど浅いのに底が見えない。洗剤の泡やビニール、野菜屑が流れるドブ川だった。左右に無機質な雑居ビルが押し寄せていて、アスファルト敷きの歩道は人がすれ違うのがやっとだ。一定の間隔で橋がかかっているが、車一台通る幅しかない名前さえない橋ばかり。まるで誰からも存在を忘れられた場所に思えた。
 それでも私にとって、そこは居心地がよかった。季節を感じさせるような並木は、帰ることのない時の流れと失われてゆく視覚を意識させた。実際、その散歩道はモノクロでもカラーでもさほど変わらず、すれ違う人もなかった。
 だが一度だけ、そこで人に会ったことがある。視界がモノクロで、空は白く輝き、それが曇りなのか日本晴れなのかはわからなかった。理由は忘れたがそのとき私は上機嫌で、いつものように歩いていると川に人が立っていた。全身をすっぽり宇宙服のような防護服で覆っていて、ひどくシュールな光景に思えた。じゃぶじゃぶ川の水を蹴散らしながら、ゆっくり上流に歩いているのだが、なにせ頭まで半円形のカバーに覆われていて、後ろから追いついた私がその人の横まで来ても、顔は黒っぽい半透明のカバーに隠れ、うっすらとしか見えなかった。頭髪をぴったりしたゴムかなにかで覆っているらしく、男のようだが年はわからなかった。
 なにをしているんですか、と滅多になく気分が良かった私は、普段なら黙って通り過ぎるのに、珍しく男に問いかけた。
(こどもをさがしているんだ)
 カバーを通して聞くせいか、男の声は妙に平板に感じた。こどもですか、と私は続けて聞き返した。
(ああ、きのう、みずあそびをしていてながされたらしくてね)
 男は、少し背伸びするように身体を起こし、川の遙か上流を望んでいた。すると、不意に厚ぼったい宇宙服に覆われた腕を水平に上げ、なにかを指差した。
 つられた私がそちらを向くと、黒い川面に細長くつるつるした物、白い色したウィンナーのようなものが、ゆっくり流れてくるところだった。橋に遮られて、見えなくなったりまた姿を現したりを繰り返し、近づいてきたそれが裸の男の子であるのに気付くまで、さほど長くはなかったと思う。まるで眠っているように、右半身を上に身体を横に向けたまま、目を閉じて右腕を少し前に投げ出すようにしている。うつぶせになってしまわないよう、右腕で水底を支える姿勢をしていた。川面に浮く油だか洗剤だかの、虹色の模様が少年の黒髪に絡まる。私の目にはその虹模様だけが唯一の色だった。ひどく痛々しい気持ちになって、流れにのり近づく遺体をただみつめていた。やがて、それは宇宙服の足元まで流れ着いた。
(かわいそうに)
 男が少年の腕をとり、ひっぱりあげる。
(このかわには、どくがあるんだ。みろ、かわいそうに、こんなにけずられて)
 少年は、左半身がほとんどなかった。切断面から、ぼとぼとと黒い臓物が落ち、流れていく。モノクロの視界の私には、それは黒いビニール袋のようにしか見えなかった。




首くくりの家
投稿日 12月1日(金)19時34分 投稿者 瀧音智也 削除

夏の頃、小さな家がそこにあった。
貧しい母と娘が慎ましく住んでいた。
それは本当に小さな家。そこには二人の暮らしがあった。
裏には小さな花畑。犬が一匹繋がれて人懐こく尻尾を振っていた。
そんなささやかな幸せがずっと続くと思っていた。
けれど母は家の中で首をくくり、娘は親戚に引き取られ、
小さな家は人手に渡る。
それ以後その家には奇妙な翳りが見えた。
作り話だと思うかい。
本当のことなんだよ。
だって、私の家も祖母が首をくくった。
そして暗い翳りはやはりそこに見える。見えるんだよ。

http://www.d2.dion.ne.jp/~shinju/




私の可愛いお人形
投稿日 12月1日(金)19時27分 投稿者 瀧音智也 削除

苛めて遊ぶ、お人形。
私の可愛いお人形。
でも最近はなんか、変。
手足がすぐにぼろぼろになるの。
腐っていく嫌な匂いもするの。
ああいやだ。ああいやだ。
あなたもやはり腐るのね。
私を置いて腐るのね。
ばいばい、腐肉に用はないもん。




ぬばたま
投稿日 11月20日(月)20時14分 投稿者 小田牧央 削除

 ぽつんと灯る小さな赤い光を、長いことみつめていたように思う。薄墨の夜空を背後に無音のビルディングが黒々そびえ立ち、その天辺で赤い光が輝いている。飛行機などに警告する光なのだろう。
 そんな光景を、闇に丸く切り取られた天窓の向こうに眺めていた。ガラスは誰かが石でも投げ込んだのか、放射状に割れている。少し身体を揺らすと、赤い光とガラスのヒビが交差して、踊るように揺れた。
「ブッ……」
 揺れる光の面白さに、なにかが口から漏れようとした。
「……ポウソウ」
 思わず眉を寄せた。おかしい、私はなにを言おうとしたのか。
「ブッポウソウ」
 我に返った。胸苦しいような不安に襲われ、周囲を見渡す。アーチの列が暗闇に溶ける限り奥まで続いている。スプレーの跡、タイルに散乱するガラスの破片、ヒヤリとした空気。遠くから都会らしい交通や人々の音が聞こえてくるが、それもかすかだ。天窓からの光が届く範囲の外は、なにも見えない。
「ブッポ……」
 思わず口を押さえる。どうして言葉がでない?
 そのとき、背後で砂利を踏む音がした。
「カッ……」
 振り返ると、白く細長い布きれがフラフラ揺れていた。闇の中をこちらに近づいてくる背広姿のワイシャツだった。
「コー」
 体格のいい男だ。なぜか黒縁の眼鏡をしている。嬉しそうに左右に身体を揺らして、少しずつこちらに近づく。
「カッコー、カッコー、カッコー……」
 天窓からの光と闇の境界に、男は足を踏み入れた。光が男の革靴を、土誇りに汚れたズボンを、赤茶色の染みが点々とつくワイシャツを照らす。植物柄のネクタイがワイシャツのポケットに丸めて突っ込まれている。男の顔は寒さに凍えたように青白いのに、口の端には笑みを浮かべている。
「カッコー……カ」
 男の眼鏡は放射状にヒビが入っている。左右どちらもまるで同じヒビ。赤い光がレンズの上からスーッと降りてくる。ああ、あの天窓を見上げようとしてるのだな、と思ううちに、男はあんぐりと口を開けた。歯が一本もなく、まるでネジのような渦巻き状の傷が喉奥まで続き、涎と血が混じって垂れ落ちる。
「コー……」
 放射状のヒビの中心に赤い光点が一致したとき、男の口の中に赤く小さな光が灯った。それは加速度を増しながら男の口から勢いよく飛び出すと、羽根をまき散らしながら黒い翼をはためかせた。赤い目の描く軌跡がチャリンと小さくガラスを震わせて、天窓から姿を消した。
 鈍い音がして、見上げていた顔をうつむけると、男が倒れている。
(……カラスめ)
 毒づきたくなるのをこらえた。横隔膜の辺りで、なにかが私の肋骨をつついた。




虚実
投稿日 11月20日(月)13時23分 投稿者 猫田 削除

本当は君に話しかけたかった
本当は君に触れたかった 

本当は君に殺されたかった




通り魔
投稿日 11月14日(火)15時03分 投稿者 ひろぽん 削除

ムシャクシャした日は
ヒトケの無い夜道を歩いてみよう
君を狙ってくる 通り魔君が隠れているはずだから

彼らをひと思いにブン殴るのは気持ちいいよ
ケケケ




センセイ
投稿日 11月13日(月)16時40分 投稿者 雨森はとな 削除

理科の時間にセンセイ が言っていた
ホントの話
死んだおじいちゃんが
山に埋められたって。
死んだそのときのまま お肉をつけて

秋になってその周辺に
キノコが生えてたって
怖くて取れなかったって センセイ言ってたけど
ホントとは嗤って
取って帰ったんでしょ、センセイ
ね…そして家で煮て
みんなで食べちゃったのね

おじいちゃんの味 オイシカッタ?

【ごちそうさま】




再再生
投稿日 11月8日(水)12時42分 投稿者 ひろぽん 削除

細胞が分裂し、コピーを作っていくように
自分自身も分裂し、コピーを作っていく

そう納得するしかないだろう

今まで僕は何度死んで、生きたことか・・・
人の生死は死ぬまで繰り返される




霧の中の部落
投稿日 11月7日(火)05時53分 投稿者 無聖 削除

霧の中 迷う田舎道
突然 老婆の怒りの声 「わしの畑を踏み荒らすな!」
身の丈4尺ほど ふと表情を変えて
「ほほぅ。おまえの墓場なら知っておるぞ」

呆然と付き従い辿り着く 不思議な部落
きつい香のにおいが漂い 
軒先に集う 様々な形をした人間たちが
余所者の私を見て せせら笑う

「これがおまえの墓だ」
そこには確かに私の名前が刻まれていたが
そこにある両親や祖先の名前は まったく知らないものだった

混乱した私は 手当たり次第に人をつかまえて
これは何かの間違いでしょう と訊きまわる
そのとき ひとりの西洋人の民俗学者が現れ こう言った

「君はそもそもはじめから 間違っていたんだよ」

http://www.my-melody.com/cgi-bin/artist.cgi?id=a001174




ある日・・・・・
投稿日 11月4日(土)21時33分 投稿者 小野寺人坂 削除

ある日、
道端の生乾きのアスファルトを喰っている人を見かけた。
何処かで見たような顔だったが・・・・・
おかしな人が世の中に入るものです。


嘘です。
そんな人居るわけが無いじゃないですか。
ねぇ?




蓄犬の海
投稿日 11月4日(土)21時03分 投稿者 皮膚 削除

落ちた海は、畜犬の海。腐れ、這いずり回る畜犬の海。我独り泳ぐ畜犬の海。
赤の、青の、黒の、紫の、腐れ虚ろう畜犬の海。我独り往く畜犬の海。爛れて流れる畜犬の膿。可笑しさの余り笑いが止まらぬ。


只の、
冗談ですか?




水底の唄
投稿日 10月22日(日)19時15分 投稿者 kiku 削除


した した した した・・・
滴れる水の音。

私はひとり、黄泉帰る夫を待つ。

した した した した・・・
あれは、腐肉を滴らせる夫の足音。

http://www1.ocn.ne.jp/~jupiter2/




寓話
投稿日 10月19日(木)01時57分 投稿者 藤原真秀 削除

 独りのたった独りの女が居りました。

「どうにも、此れは好くない。」

 其れは判っていたのですが、どうにも彼女は、なんとかする術を知らなかったのです。
無論、独りですから、誰も教えてくれません。しかし、実に彼女は学ぼうとしなかったのでも在ります。

 彼女は目が悪いのです。
仕方なく、目にレンズをはめ込んで、痛み涙しつつ、周りを見回しました。
すると、妙に世界が明るく、濃く見えました。

 彼女は一瞬、其のことを喜びました。
しかし、暫くして目にレンズを嵌め込んだ事をひどく後悔しました。

 この世界は、恐ろしく、けばけばしく、何もかもが彼女を脅えさせたのでありました。

「こんな世界、怖くて恐ろしくて、私にはどうしようもない」

 急いで、レンズをはずして目を閉じました。ですが、何度目を洗っても、擦っても、そして目を閉じても、一度見た世界は焼付いて離れません。

 そう。彼女は見なくてもいいものを見たのです。しなくていいことをしたのです。学ぶことをせずに、レンズに頼り世界を見て、それで独りでなくなると思った彼女は、だただた、愚かな人間だったのです。
そもそも、この世界は、自分の身の丈にあったようにしかなく、自分の身の丈にあった様にしか見えないのです。

 なによりも。
はじめから、この世は恐ろしいものでしかなかったのですから。




ツキ
投稿日 10月16日(月)11時12分 投稿者 雨森はとな 削除

真っ白だった
真っ黒だった
茶色だった あの時のわたし
どっちが本物か確かめてみてわかった

わたしはわたしだった

月の下
青白い明かりと版画のような木
月光でできた影
わたしの肢体 瞼を閉じた目
  土の中  
      
      さようなら わたしでないワタシ




投稿日 10月13日(金)08時59分 投稿者 水鏡 削除


花よ花、
ああ、そこの花よ、おまえのことを言っとるんだよ

そんなに艶やかに咲くもんじゃないよ
そんなに煌びやかに飾るもんじゃないよ

でないとおまえ
早く散ってしまうじゃないか




三角ビル
投稿日 10月9日(月)21時42分 投稿者 小田牧央 削除

 子供の頃の記憶だから、前後のことは覚えていません。私は両親と共に、ある団地の十二階に住んでいました。ベランダのある、2LDKだったと思います。近くに工場があって、そこに勤める人達五百人以上が生活する、マンモス団地でした。
 私達家族が住んでいた棟は駅にいちばん近く、ベランダにいた私は(なぜベランダにいたのか覚えていないのですが)隣のビルの屋上を眺めていました。ベランダはセメント塀の上に鉄製の柵がのっているタイプでした。小学生の頃でしたから、普通に立った顎の高さにちょうどセメント塀が来ます。私は平たい鉄製の柵を両手でつかんで、そう、外側から見れば、ちょうど「俺は無実だぁ!」と叫ぶ囚人のようだったかもしれません。
 隣のビルは、三角ビルと呼んでいました。ほら、駅前って土地が高いでしょう? そのせいか、細長い土地に無理矢理建てたようなビルがあるじゃないですか。あのビルも、多分そうだったんです。駅側は普通に幅があるんですけど、私から見える側は、極端に幅が狭くなってるんです。大人が、手を左右に広げたくらいだったかな? 上から見ればきっと、台形型のビルだったんですね。
 恐らく、そのビルの高さは十三階だったと思います。そのビルに入ったことはなかったですけど、ちょうど一階分だけ向こうの屋上が高かったので。
 屋上には人影がありました。大人と、少年です。大人は男性で、殺し屋みたいに黒ずくめの服を着て屋上の縁にいました。低い柵はあるんですけど、乗り越えたんでしょうね。日本晴れで、三角ビルの向こうに大きな建物はありませんでしたから、なんというか、青空の中に三角ビルがニョッキリと先頭の煙突みたいに突き出ていて、男の姿は青空を影絵みたいに切り取って作ったように見えました。少年のほうは半ズボンに野球帽を被っていましたが、誰なのかはわかりませんでした。顔が見えなかったんです。黒ずくめの男は、少年の首を両腕で締め上げて高々と持ち上げていたんですけど、少年は背中をこちらに見せていましたから、見えなかったんです。自転車でも漕ぐみたいに少年は腕や細い足をバタバタ振り回してました。その足が邪魔で、男の顔も見ることができませんでした。
 団地と三角ビルの間は距離が離れてましたから、その二人の姿は小さいものでしたし、声も聞こえませんでした。三角ビルの屋上の縁は、大人二人が並ぶこともできない狭さです。黒ずくめの男は、少年の首を締め上げながら、なにか言い聞かせているようでした。少年の足の影が、ビルの壁にのびていましたから、少年の身体は完全にビルの屋上の縁の外側にあったんでしょうね。
 やがて、少年の身体はグッタリして、ダランと四肢をぶら下げました。男は少年の身体をゆっくり、こちら側に向けながら屋上に寝かせました。このときも、けっきょく少年の身体が邪魔だったり、男がうつむいてしまったりで顔は見えませんでした。ただ、少年の顔はチラッと見えました。覚えがあるような顔だったのですが、いまも名前はわかりません。次に男は、右手に金槌を持ち、左手にはなにか細長い、暗い赤色の布きれのようなものを持っていました。遠くてわからなかったんですが、どうやら右手には釘も持っていたようですね。そして、身を屈めて、屋上の縁に近いビル壁に、布きれの端を釘で打ち付け始めたんです。ビルの壁は当然コンクリートですから、これは結構大変だったでしょうね。結構、時間がかかったと思います。
 それから、どうにか釘を打ち付けられたのか、男が汗を拭いながら身体を起こしました。なにをしてるんだろう、と見ていると、男は横になっている少年の身体をズズズッと押しやりました。まず腕がダランと屋上の縁から落ちて、それから身体全体がブランッと屋上からぶら下がりました。アレッと思ったら、どうも細長い布きれは、ネクタイだったんですね。少年なのに、ダークブラウンのネクタイをしていたんですけど、ほとんどずっとこっちには背を向けていたので、私は気付かなかったようです。ぶら下がったときの衝撃と自重のせいか、首が折れたらしく、少年の首は変な方向を向いていました。野球帽が脱げて、ビル壁に沿うように落ちていくのを私は目で追いました。
 それから、男はどうなったんだろう、と私は視線をビルの屋上に戻しました。男の顔はどんななのか、興味もあったんです。ところが、男はいつの間にかこちらに背を向けて、なにか重いものでも持ち上げるみたいに、腕を地面近くにさしのべて、腰を落としています。なんだろう、なにをしているんだろうと思ってみていると、男はすっと腰を上げました。
 そのとき、私は見たんです。男は、青空を持ち上げていました。まるで、布に描かれた青空の絵が三角ビルの屋上にあるように、なんでもない感じで軽く青空を持ち上げました。その向こうは、ただただ暗いばかりでなにも見えません。男はひょいっと青空の向こうに潜り込むと、姿を消してしまいました。




逆様の喜劇
投稿日 10月7日(土)21時55分 投稿者 ウキヨイコトワ 削除

水道水の上を
金魚の腹がプカプカ浮いていた

貴方に此処は冷た過ぎる
私には、遠過ぎる

蓮台から墜ちましょう




断罪
投稿日 10月5日(木)22時19分 投稿者 知里 削除

倒れるまでに、蹴飛ばされ、
そして見た物、幻か。




ガード下悪夢
投稿日 9月30日(土)15時28分 投稿者 小田牧央 削除

 できるだけ、患者の顔から目を逸らした。話しにくいだろうし、精神的不安という病を抱えた人間に、強迫的な印象を与えてはいけない。といって、相手の話の間中ボールペンの尻をカチカチやっているのも、こっちが神経質じみてる。なかなか難しいわけで、しかたなしに相手の胸や膝の上辺りをみつめることになる。
「悪夢をみるんです」
 ゆったり深く座れるクッションなのに、患者はリラックスどころか膝の上で指を何度も組み直す。痩せて筋張った手で、何か演技している役者のようにも見える。
「ガード下の歩道です。列車がひっきりなしに上を通過して、とてもうるさいんです」
 手のひらが、今度はワイシャツの一番下のボタンをいじりだす。
「ガード下は、真っ暗です。昼日中で、日射が焼け付くように強いのに、ガード下とその向こう側は暗いんです。ガードの向こう側だけ、夜なんです。蛍光灯が一列になって……男が仰向けに倒れています。背広を着ているみたいですが、暗くてよくわからない……起きあがりかけているように上半身を起こしかけて、シルエットしかわからないんですが、なんだか不自然なんです。後ろ手をつくこともなく、前に差しのばすでもなく、男は両の手を腰のあたりにそえたままで上半身を起こそうとしている……腹筋でもしてるみたいに」
 患者は両手を、膝の上にそろえる。心なし、震えてる。
「私はガード下へ向かって歩いてくんです。そのときはまだ悪夢とわかってなくて、なんだろう、あそこで眠ってるのは誰なんだろって、近づいていくんです。やがてガード下に入って……列車の轟音が鼓膜をパチンと弾き割りそうなほどやかましい……誰だろう、誰だろうって思いながら近づいて、やっと目が暗いのに慣れてきて、わかるんです」
 手のひらを裏返し、透明な何かを持ち上げるように、少し、膝から浮かす。
「そこにいるのは、一人じゃないんです。倒れる男の脇の下を、そいつが後ろから抱え起こしてるんです。少年のように背が低くて、でも瞳が冷たくて……近づいて行くとだんだん見えて来るんです。仰向けに倒れる男の頭の影から、次第に奴の顔が……ウェーブのかかった黒い前髪、あの冷たい瞳、ああ……そして、血に濡れた口」
 胸元まで患者は手のひらを持ち上げ、パタンと落とす。私は目を逸らし、ボールペンで頭を掻きながら、カルテに目を落とす。
「その後、私は目を覚まします」
 私は、また患者の膝の上に、視線を落とす。
「頭の中がボーッとして……なんだか、よくわからないんです。夢のことを想い出しながら……私は洗面所に行って、顔を洗い、剃刀を手にして……鏡を見るんです」
 膝の上にあった手が、また、ゆっくりと、あがっていく。
「夢の中の情景が頭の中に再生されて……私はすごく奇妙に嬉しくなって、自分の頬をなでて、笑いながら剃刀を……」
 語尾を濁らせながら、患者は頬に手のひらをあてて、直線のかさぶたが縦横に走った顎をなでる。痩せた蒼白の顔を斜めに傾け、唇の端から涎を垂らし笑いながら瞳を見開いて。




転生
投稿日 9月19日(火)23時10分 投稿者 kiku 削除

闇の中 閃く剃刀
闇を切り裂くように 自分を切り裂く
傷口からドクドクと溢れ出る生暖かい血液を
全身に浴びて
私は 生まれ変わる




生の醸すもの
投稿日 9月14日(木)12時25分 投稿者 ひろぽん 削除

抉られた体の一部が
一層のスゴミを醸すのは
キミが生きているからだ

標本のように動かない
固まりになってくれればいいのに




さくらさくら
投稿日 9月14日(木)01時36分 投稿者 知里 削除

目の前に櫻、貴方の前にも櫻、
花びら舞い落ち、闇も尚。
一重二重飛び散って、貴方の死体に墜ち果てる。




月と太陽
投稿日 9月7日(木)22時08分 投稿者 kiku 削除

乱反射する 月の光の中で
微睡む あなた

回る 回る 生命の神秘 捻れて

月と太陽に背いて
わたしは あなたを 愛し続ける

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眠りの少女。
投稿日 9月2日(土)16時58分 投稿者 知里 削除

私は眠りに落ちました。
口から血を出し、永遠の眠りにつきました。
貴方はそれをじっと見てるのですね。
どうか永久に見ていて下さい。




掌と微笑み
投稿日 8月31日(木)17時56分 投稿者 こっこ 削除

汝が首の温かさよ
其れに触れる己が掌のこの心細さ

力を込めたら貴方はどうしていたことか?

ただの温かさでなく
己だけの温かさが欲しい
其の後は誰も味わい得ぬ
貴方の首の温かさが欲しい

貴方は其れを知らず
微笑んでいた




黄色と灰色
投稿日 8月27日(日)18時39分 投稿者 小田牧央 削除

 いつから、こんなに匂うようになったのか。毎日、家族のために食事を作っている台所。毎朝、鼻歌混じりに味噌汁をつくり、今夜のおかずに頭を痛めながら冷蔵庫を眺め、床下に漬物を作り、窓辺で花を育て、食卓に眠り込もうとする夫を揺さぶり起こし、義父の葬式には親戚一同皆集まって、慌ただしかった。
 台所に立たない日は一度もなかった。なのに、こんな匂いがするなんて気付かなかった。食卓の端に置かれたビニール袋を眺めながら、麻痺したような頭で私は椅子に座り込んでいる。テレビが夕方のニュースを放送している。いつの間に点けたんだろう。
 遠くで蝉がないている。子供達が歓声をあげ、踏切が甲高く警告音を響かせる。夕暮れの濃密な空気に包まれて、その音はどこか優しい。壁の時計が、単調なリズムで秒を刻む。
 不意に、ビニールのガサリという音がした。私は顔をあげた。いつの間にか、うつうととしていたらしい。頬杖をついていた腕が、ずっと頭の重みを支えていたせいか、ひどく痛い。
 目の前の床に、卵のパックが落ちていた。いけない、スーパーに行ってきたというのに、買ってきたものを片付けるのを忘れていた。卵パックがつぶれないよう、ビニール袋のいちばん上に置いたのに。
 ああ、もったいない。床の上の卵パックは、いちばん隅の一個だけ割れて、中から灰色の脳味噌がこぼれ落ちている。
 私は隣の居間に目をやった。倒れて大の字にふせる息子の割れた頭から、黄身がこぼれて絨毯に染み込んでいる。
 いつまでものんびりしてられない、と私は思った。葬式が始まったら、また親戚の者達が押し寄せて忙しくなる。




投稿日 8月22日(火)07時48分 投稿者 知弥 削除

「知ってるよ。全て解っているさ。」

何を知っていると云うのだろう。
自分でさえもワカラナイのに。
誰なんだろう。
僕の心に囁きかけるのは。

「知ってるよ。全て解っているさ。」

僕は膝を抱え、昨日を思う。
僕は涙を流し、明日を思う。

「そんなに辛いんなら殺っちまいな。」

僕は暗闇で目を見開いて、吠える。
転がる身体が、月の光でボワっと映える。

「知ってるよ。全て解っているさ・・・・。」




聞こえてない
投稿日 8月17日(木)16時23分 投稿者 ひろぽん 削除

学校のトイレに入ったとき
ドアを開け放したままの
一番奥の便器から
ガサゴソと音が聞こえた

ヒトケもないようなので
聞こえない振りをしていた




投稿日 8月15日(火)23時52分 投稿者 マヤ 削除

人間(ひと)、ならば・・・
大殺戮の・・・血の匂い?
・・・草刈り、あとの・・・野の、かぐはしき




投稿日 8月10日(木)21時20分 投稿者 kiku 削除

月の裏側に母の面影を追い求めて
少年は旅に出る
ヒンヤリとした月を懐に抱いて
少女は眠りに墜ちる

その頃
月の上では片目の蛙が帰らぬ主を待っていた

誰が知っているのだろう
本当の月の顔を?

http://www1.ocn.ne.jp/~jupiter2/




まほのうた
投稿日 8月8日(火)21時18分 投稿者 まほ 削除

汝がさだめ狂はすは我愛といふ言葉の刃を手に握りしめ

nnagasadame kuruwasuwaware aitoiu kotobanoyaibao teninigirisime




首しめた。
投稿日 8月3日(木)22時18分 投稿者 知里 削除

ぎゅっと首しめた。
その首の跡には赤い色。

http://www2.neweb.ne.jp/wd/artisan/beniosiroi




短歌一首
投稿日 7月23日(日)10時45分 投稿者 kiku 削除

美しき黒髪まさぐる手彷徨いて魔性の夢の匂い立つ夕べ

http://www1.ocn.ne.jp/~jupiter2/




女の背は紫
投稿日 7月22日(土)21時30分 投稿者 小田牧央 削除

 ちっとばかり古ぼけたビジネスホテルは、かえって広くていいもんだ。楕円と渦巻き模様の壁紙も色あせて、照明を消してあるもんだから闇に溶けたようになってる。ベッドの枕元の蛍光灯だけがうつぶせに眠る女のうなじを照らして、乱れた髪がシーツの上を這っている。麻酔が効いているから、髪一本身じろぎもしない。
 全裸の女は下半身をシーツに覆われ、俺は女の腰に馬乗りになって鉛筆を握っている。二つボタンのスーツの上に半透明ビニールの雨合羽を後ろ前逆に着込んでいる。そうしないと、隙間から血が飛び込んでシャツに染みをつくりかねん。
 いざとなって鉛筆を握ったところで、なにも思い浮かびはしない。あんまり書くスペースはないから言葉は考えて考えて選ばないといけないってのに、なに書くかなんて肝心なことは考えてなかったんだからお笑いぐさだ。
 なんとはなしに、女の頭の上に手を伸ばし、手垢のついた紐を引いて、明かりを消してみた。アルミサッシのでかい窓から表通りのネオンの青い光がどこからともなく反射して射し込んでいるのか、女の背中の複雑な模様が紫色に染まっている。赤と青を混ぜたら紫になる。
 詩を思いついた。形而上的な黙示録的幽玄世界。俺は鉛筆を握りしめる。木でできた鉛筆の肌触り、柔らかい芯がこすれて黒く切れ切れの線を残す。古い造りだけにかえって防音がしっかりしていて、鉛筆の芯の音が聞こえてくる。
 そのとき、俺の尻の下で、女の身体が動く気配がした。
 麻酔が足りなかったのか。俺は左手で、シーツの脇に転がしていたメスを手にとり、逆手に握った。眠りが浅くなった途端、激痛が刺激したのだろう、女は自分の背中を確かめようと、めったやたらに後ろ手に腕を振り上げる。
 俺は女の腕にメスを斬りつけた。暴れる女の腕が偶然、枕元の照明の紐を引っ張り、またたきをしてから蛍光灯がついた。俺の詩が刻まれた女の肩胛骨が照らされ、俺は哄笑をあげながらメスと鉛筆を交互に振り回した。




回転
投稿日 7月14日(金)07時33分 投稿者 知里 削除

クルクル回ル
アナタ見テ回ル
カイテンオエタラコワレテシマウ
カイテンオエタラ、僕モ死ヌ




七+七ノ物語
投稿日 7月9日(日)01時35分 投稿者 陽々 削除

オリヒメ 七ツノ眼デ感ズ イトシキヒトヲ
イトシキヒト 七ツノ眼デ感ズ オリヒメヲ

嗚呼オリヒメハ動カナクナツタ
イトシキヒトノ引ク、牛ニコソ轢カレ
嗚呼オリヒメノ焼キツイタ瞼
イトシキヒトノ引ク、牛ニコソ轢カレレドモ

嗚呼イトシキヒトハ動カナクナツタ
オリヒメノ流サレタ みるきぃうぇいニ飛ビコンデ
嗚呼イトシキヒトノ焼キツイタ瞼
オリヒメノ流サレタ みるきぃうぇいニコソ飛ビコメドモ

嗚呼――
牛ダケガ其処ニ立チツクシタ。

___
そして。>まほ。
↓は、誤字か?其れとも・・・(^^;
いやむしろよい。オカシくなりそーな雰囲気がよく出てる。
そのままにしときよし。(笑)




木ノ上ニテ
投稿日 7月9日(日)01時26分 投稿者 kiku 削除

アノ人ガ紙屑ノヨウニ燃エルノヲ
木ノ上カラ見テイタ

脂ガ焼ケル臭イニ涙ガ出タ

アノ人ノ手ガ宙ヲ掴ミ
ソノ側デ犬ガくるくるト回ッテイタ

http://www1.ocn.ne.jp/~jupiter2/




ワガコココニオニノスム
投稿日 7月8日(土)21時13分 投稿者 藤原真秀 削除

私はあなたの幸せをいつでも祈っています。

アノオンナニツイテイカナイデ
アナタガツイテイッタラキット
アナタモアノオンナモコロテシマウ

心の中で暴れ出しそうな感情を抱えて、
今日もあなたとあの女が一緒に笑うのを
ひとり笑顔でみつめていました。




膨張
投稿日 7月4日(火)16時21分 投稿者 ひろぽん 削除

鏡に映った自分が
微妙に膨らんでいるように見えた

たいして気にすることもなかったが
今度は影が薄くなってきた

どうすることも出来ずにいたら
色が褪せてきた

相変わらず膨らみ続けているようだ




惑ひ
投稿日 6月25日(日)02時45分 投稿者 廃土 削除

左の手首に結んだ髪の毛。
おまえのか?なんなんだ?




まほのうた
投稿日 6月16日(金)01時31分 投稿者 藤原真秀 削除

憂ひひとつ持たぬ者はあらざりき横目にてみる龍之介の顔




桜散りたるのちの花酔ひ
投稿日 6月15日(木)11時40分 投稿者 藤原真秀 削除

君と出逢つたあの頃、此処は桜の森。
何も知らずに、独り歩いてゐた。

花は散る。

いまや誰も桜とは思はないこの森。
闇の中、二人歩ひた。
きつと互いに必要だつた。
二人は闇であり、闇は二人であつた。
森を抜け光を見るまでは。

君には光。

嗚呼君は永久に光だ。
私を受け入れぬ光だ。

花を散らせた桜が、君を酔わせたのだと。




さよなら
投稿日 6月14日(水)16時02分 投稿者 しっぽな 削除

不完全な僕は掻き落とされ、痛みが体を突き抜ける。
母の泣き叫ぶ声に耳鳴りが止まない。
冷血に満ち溢れた瞳に、血塗れの右手の無い僕が映る。
そのまま黒いビニールに包まれた・・・
これが愛なのかもしれない・・・ありがとう。




午前5時頃
投稿日 6月11日(日)03時44分 投稿者 廃土 削除

目を閉じたおまえ、目を開けたおれ。
目を閉じたおまえ、首を絞めるおれ。
目を閉じたおまえ、くちもとがゆるむ。




闇・・・、
投稿日 6月5日(月)17時28分 投稿者 あい 削除

見えいるのか、いないのか。
聞こえているのか、いないのか。
死んでいるのか、いないのか。
俺は誰だ、君は誰だ。
ひた走る。夏。
一寸先は、闇。




空の穴から覗く夜
投稿日 6月4日(日)21時08分 投稿者 小田牧央 削除


 その日……私は午前様で、二日酔いに痛む頭を熊手の形にした指先で強く押しながら、帰途の途中の細い裏路地で、妻と二人の子供が待つ高層マンションを、思わず見上げたものでした。さて、なんと言い訳したものやら。
 昇り始めたばかりの初夏の太陽に照らされて、白い壁面が輝いています。この辺りで高い建物は他にないので、二十五階建ての、上から見ると正方形に近い形をしたマンションは、この古い瓦屋根の並ぶ町を見下ろす監視塔のようでした。
(お……や?)
 不思議に思いました。マンションの上部、そう、二十階から上くらいが、すべて針金でできたシートのようなもので、覆われているのです。このマンションは昨年できたばかりで、私達の家族も半年ほど前に県外から引っ越してきたのでした。ところが、できてから間もなく小火騒ぎがあったり、二人もの自殺者がでているのです。小火騒ぎは上のほうの階でしたから、外壁修理でもしているのでしょうか。
 私は不意に……興味が湧いてきました。てくてくと歩き、マンションにたどりつくと、いつものように家族の待つ八階ではなく、最上階へのエレベータのボタンを押しました。最新のエレベータは、音もなく上がり始めます。
 学生の頃を思い出していました。私は二年ほどで退寮して、二階建てのコーポの一階の部屋に移りました。思い返してみればどうということもないのですが、私は、一度もそのコーポの二階に行ったことがなかったのです。それはひとえに、用がないからという単純な理由だったのですが、深夜、天井を見上げ、ああ、あそこにも人がいるんだなと思うと、なんとも奇妙な胸心地がしたものです。
 そんなことを思い出していると、小さなベルの鳴るような音がしました。エレベータの扉が左右にわかれ、真っ白な朝陽が金網越しに差し込み私は思わず手をかざしました。
 薄い雲が広がっているのか、不自然なほどに空は真っ白でした。均一に白い空は、ミルクの液面のようです。私はエレベータからでると、玄関ドアが等間隔で並ぶ廊下を進みました。
 金網越しに、ミニチュアのような町が広がっています。小さな山、ほとんど車のない県道、朝の町は少しずつ動き始めているのでしょう。
 廊下の端まで来ました。角を曲がると、うめき声が聞こえてきました。なんだろうと思い、視線を廊下の奥に向けると、人影があります。老人でしょうか……まばらな白髪頭で、金網にしがみつき、町を見下ろしています。腰が砕け、膝を手すりに押しつけ、半ば金網にぶら下がるようにしています。
「おお……お……」
 金網を奮わせて老人は叫びます。
 私は困惑しました。痴呆症なのでしょうか。徘徊老人でしたら、声をかけねばなりません。
「あの……おじいさん?」
 声をかけようとして、老人が、右手になにかぶら下げているのを見ました。大きなX字のハサミのような……ああ、ペンチではないですか。
 老人が、振り向きました。涙の筋が瞼から口元へと流れ、キラキラ光っています。老人は、皺だらけの指で、なにかを指しています。金網越しに人差し指だけを斜め上に……空の方向に指しています。
 私はつられて、そちらに顔を向けました。そして、あっと口を開きました。
 なんと……真っ白な空に、穴が開いて、暗闇が覗いているのです。ポッカリと、空に浮かぶ巨大な黒い円。太陽よりも月よりも遙かに大きい……円形の夜の中に、星が浮かんで、ああ、あれは、なんでしょう? ビロードのようなオーロラのような、いや、あれは、もしかして。
 私は、全身が凍り付くのを感じました。声にならない叫びが横隔膜を痙攣させます。
 あれは、オーロラではありません。虹彩です。
 巨大な眼が空いっぱいに浮かんでいるのです。
 私はふらふらと後ずさると、玄関ドアの脇の壁にドシンと背中をつけました。そのまま、腰が砕けたようになってしまい、ズルズルと腰を落としました。バチン、バチンと金属を弾くような音がして、あの老人のほうを見ると、両腕にペンチを持って、次々に金網を切り開いています。
「おい……おじいさん、ちょっと、なにを」
 慌てて私が立ち上がる間に、老人は両腕で切った金網を押し広げました。手すりに足をかけ、もう一方の足を、さらに宙へ。
「じいさん……じいさん!」
 遅すぎました。私が金網に手をかけると同時に、老人の身体はすっかり金網の外にでて、その小さい身体が、ミニチュアの町に飲み込まれるように、みるみる小さくなっていきます。
(さんにんめ)
 地響きのするような低い声がして、真っ白な空が、まばたきしました。




濡れた靴
投稿日 5月31日(水)18時00分 投稿者 ひろぽん 削除

雨に濡れた靴を
クチュクチュと踏み鳴らしながら
夕べの悪夢を思い出す

ハテ?何をフンづけてたんだっけ?




さみだれ
投稿日 5月17日(水)21時06分 投稿者 零月 削除

雨音にフッと射す雷光。 轟きと声ならぬ声。 ……秘めて聞き入る。




破綻
投稿日 5月16日(火)20時15分 投稿者 藤原真秀 削除

一つの事象があって
それに二人の人間が立ち会った

すると何故だろう

二つの異なる結果が導かれた

全く異なる感情の下
一つの有為があって
そして異なる・・・

ゆえに人間関係は破綻せり




まほのうた
投稿日 5月13日(土)15時53分 投稿者 藤原真秀 削除

爪立ててかけらひとつもわたさない君を誰にも君を君にも




投稿日 5月13日(土)15時49分 投稿者 藤原真秀 削除

たくさんの糸が張り巡らされ
腕に絡み
頬に食い込み
身動きもままならず
呼吸すらも苦しくある

この糸を張ったのは誰だ




歌一首
投稿日 5月8日(月)04時42分 投稿者 Halo 削除

ひそかごと 耳すましてる 影法師




ツツジ彷徨
投稿日 4月30日(日)21時54分 投稿者 小田牧央 削除

 さて、わたくしは、いつものように胡座をかいて、おおどおり、いきかうひと、びとの、かおを飽きずながめ、ハ、みな、もとは猿だてぇのに、ばるえーしょんがあるものだなと、顎髭をいじっておりました。手の、ふるえもなくて、きげんがよろしかったのです。
 天下太平、きがねはいらない公道です。すぎゆくかぜは碧いろ。あるいてるだけで汗をかく。春陽気、春陽気かな。ツツジがまんかいです。そう、視線がひくいと、ひとにはみえぬものがみえてまいります。歩道タイルの罅割れ、ちゅういんがむの黒い塊、できることなら、蝦蟇口でもおちていてくれないかしらん。そうしたら、このきちゃない服も、ようやっとあらえるのだけど。
 ふと、紫がかったピンクのツツジをみていると、頭蓋のおくで、チクリチクリとなるものがありました……そう、お袋が、こんな色した口紅をしていたような……水商売だった母は、昼に起き、夕に仕事にでかけ、朝に帰ってくるのです。酒飲みの父親に殴られ、泣きながらアパートを飛び出し、母の店に逃げ込もうと夜道を泣きながら歩きました。酔っぱらいにからかわれて、怖かったのが鮮やかなネオンのように忘れられません。酒は、いけません。人に悲しい思いをさせるから。
 ふと、膝の上に重みを感じました。虫?
 いえ、そこにいたのは、一人の看護婦さんでありました。ちいさなちいさな、こゆびくらいの看護婦さん。
 ぼろぼろに擦りきれた作業ずぼんの、うえで、かんごふさんはしゃがんでおります。かげになってよくわかりませんが、すわりこんでいるだれぞやらに話しかけているのです。そう胡座をかいて……ああ、なんじゃ、わたくしではありませぬか、なんとちいさくなったわたくし……あんなに手を震わせて……。
 目のおくが、ジーンとなって、瞼をとじると、なにもかもがまっしろになりました。




フツウ
投稿日 4月30日(日)01時31分 投稿者 陽々 削除

君の名は?
そう訊ねたときから 病がはじまる

君の名は?
その瞬間から 体系化がはじまる
ただひとことが、恋という路を通って
心的外傷という意味を指さす

普通 普通 普通 普通だ・・・・!!
何より 君が名識らぬことを この妾在らぬことを




心の森
投稿日 4月27日(木)20時25分 投稿者 藤原真秀 削除

ああそうだ。ここは森だ。
地図上には存在しないが、誰もが迷い込むという。
そして、誰もが持つという心の森だ。

森を抜けても、心の中に森は確実に存在し、消えることはない。
人は森を抱えて生きているのだ。
迷うのは自分自身の心にだ。
いつ迷うかわからない森を心から消すことはなく森と共に生きるより他はないのだ。




何処へ
投稿日 4月27日(木)07時27分 投稿者 知弥 削除

真っ暗闇の道を、僕は歩いている。
くすんだ空に星の見える事はなく、
流星の流れる筈もなく。
靄のかかった道を、僕は歩いている。
くすんだ空に日の光を見る事はなく、
虹のかかる筈もなく。
幸せを掴む筈のこの大きな手は
他人を助ける為だけに有り、自分が助かる筈もなく。
幸せになる為に生まれ出たこの身体は
他人を幸に導く為にだけ有り、自分が助かる筈もなく。
僕の笑顔は己の幸福の現れではなく、
他人の仕合せと共に有り。
靄のかかった道を、僕は歩いている。
さて、僕は何処に行くのだろう?




集合写真
投稿日 4月26日(水)15時37分 投稿者 ひろぽん 削除

曇り空のした撮った集合写真
アイツの顔だけがニコニコと薄気味悪く
無用に生を燃焼しているように思えたのは
気のせいではなかった




まほのうた
投稿日 4月26日(水)01時04分 投稿者 藤原真秀 削除

折れた花持った女が泣いている「でも捨てることは出来なひ」と言ふ




犬と豚
投稿日 4月22日(土)22時19分 投稿者 小田牧央 削除

 日没が近い郊外の住宅街は、橙色の粒子がキラキラ輝きながら漂う空気にスッポリ覆われて、毛布の中でぽかぽかに身体を暖めてグッスリ眠る赤子のように、その呼吸を緩やかに整えようとしている。小学校からの帰り道、由美は別れ道で友達にバイバイと手を振ると、ペチャクチャおしゃべりで失った時間を取り戻そうとするように、赤いランドセルの中でプラスチックの筆箱がカタカタ音を鳴らす小気味良いリズムに合わせて小さな手足をいっぱいに動かして、アスファルトの上に長い影を従いながら走っていく。
 由美はまっすぐ家には向かわなかった。隣家で子犬を飼っていて、るん太と名付けたのは由美だったのもあって、ペロペロ手の平を舐めたり、お手やお回りを覚えさせるのが楽しみだった。色んな庭木が密集している隣家は中年夫婦二人きりで、貫禄がよくガッハッハと大口で笑うおばさんに、やさしいけれど貧相に痩せて妻より背の低いおじさんは、蚤の夫婦という言葉が滑稽なくらいぴったりあてはまった。
 隣家の庭に忍び込む。由美はまだ小さいから、それが悪いことだと思っていないし、隣家の夫婦は子供がいないせいか由美に優しく咎めない。雑草や小石を踏みしめ由美は庭木のトンネルを抜ける。オレンジ色の木漏れ日がポッカリと大きくなって、そこに三角屋根の犬小屋が由美を待っていた。
 でも、犬小屋の中に、るん太の姿はなかった。赤い首輪だけが、犬小屋の中の暗がりに転がっている。
「豚がね」
 大人の声に由美は振り向く。
「犬を殺したんだよ」
 痩身を夕日で真っ赤に染めた隣家のおじさんが、縁側に立ち尽くしていた。シャツの腕をまくり、顔中に貼り付く汗の玉を拭おうともせず、焦点のぼけた瞳で由美を、いや、犬小屋を見ている。青い顔色が夕日の蜜柑色と混ざって死人のような鈍色。
「ぶた?」
 由美は、おじさんの背後の部屋の様子が妙なのに気付いた。暗がりでよくわからないが、和室六畳間の畳やその下の板が外されて壁や襖に立て掛けられているようだ。部屋の真ん中に、床下への穴が開いている。
「そうだよ」
 おじさんはくるりと由美に背を向けた。そのとき、初めて由美はおじさんが室内なのに土足なのに気付いた。奥の座敷に入ったおじさんの姿は影になり、影は身を屈めて長い棒のようなものを拾い上げた。それは、錆だらけのスコップだった。拾い上げた瞬間、スコップの先が夕日に照らされ、赤く濡れた光を反射した。
「二つも穴を掘りゃなきゃならない」
 おじさんの声は、小さかった。




まほのうた
投稿日 4月21日(金)20時33分 投稿者 藤原真秀 削除

傷を負ひ逃げまとふこと続けおり逃げるもつひにはかなはざりきを




若気の至りの歌詞の墓場 1
投稿日 4月20日(木)08時37分 投稿者 削除

熱い首筋 突き刺さる爪
流れ出す紅い血に浪漫の薫り

毒を飲み干し 蹲るなら
美しく咲けるように コロシテアゲル

今 飽和したこの世界に 疲れたのならここへおいで
一瞬の苦痛 抜けたらそこに 無情なまでに広がる快楽

愛おしい 腐敗の夢を
抉り取り しゃぶりつき 私は生きる

醜く朽ちて 崩れ逝くなら
敷き詰めた華の上で キザンデアゲル

偽善に満ちた 人々が笑う この世界では 美貌も歪む
キミの為に 手を差し伸べよう 背徳の唄 遠く響いて

跪け この宮殿で
赤色ビロ−ド 風にたなびく
愛を乞え 最上の愛を
弛むことなく 注いであげるから

跪け 進化を夢見て
再生の時は 目の前にある
垂れ流せ 抑圧の全てを
新しい月の下 導いてあげるから

*4年程前のモノです。恥ずかしや...そして、下手な歌詞...*




無題
投稿日 4月19日(水)17時19分 投稿者 藤原真秀 削除

しじまの声を聴け

確かに聞こえる

音無き声を






ねむれないよるのうた
投稿日 4月18日(火)16時46分 投稿者 多映 削除

おそろしき物語よむ真夜中の吐出す息の中の 猟奇歌




まほのうた
投稿日 4月18日(火)12時30分 投稿者 藤原真秀 削除

息白く冷えたる指を重ねつつ桜越しに見る月ぞ清けき




運転中
投稿日 4月17日(月)14時20分 投稿者 ひろぽん 削除

乗客の命預かる運転手は一人思いに耽る

殺したいヤツだけを乗せたバスツアー




Up to spring
投稿日 4月15日(土)19時04分 投稿者 陽々 削除

「次ノニュース。今日ノ雨ハ櫻ヲ吹キ散ラシタ・・・櫻ヨキミガイナクナレバ我ノココロハ荒ムノデアルカラシテ戻ル事ヲコソ求ム厭々云々」・・・・・

此の樹仰ぐ 聞こゆるは
躯の音 叫の音




ギター
投稿日 4月13日(木)21時58分 投稿者 ひろぽん 削除

ギターをかき鳴らし
張り詰めた夜の静寂を破ってみる

ひとたび怒った弦たちは
再び静かな眠りについた

このまま寝かせてあげようと
ソッとギターを置く




まほのうた
投稿日 4月13日(木)20時02分 投稿者 藤原真秀 削除

桜舞う宴の森に一人ゐて闇なる天を掴まんとする




Down to spring
投稿日 4月12日(水)11時47分 投稿者 陽々 削除

桜の本日
しだれゆく花枝
しだれゆく曇空
しだれゆく其顔

触れもあへず 枝の下泣惑せよ




投稿日 4月11日(火)17時00分 投稿者 ひろぽん 削除

桜の木の下で不合格通知片手に記念写真

合格者の胴上げに参加してみる不合格者

浪人試験の合格通知が届いた

すべり止めに受けた学校が、本命だったのに・・・

受験の下見でこの学校には飽きた

散り行く桜の花びらはこの上なく美しい

五度目の受験のこの学校
初受験の同士はもう卒業したのカナ




まほのうた
投稿日 4月6日(木)16時23分 投稿者 藤原真秀 削除

人は皆
迷ひの中で
生きている
夢もうつつも
己がものゆへ




お? 削除できたみたい
投稿日 4月2日(日)17時11分 投稿者 小田牧央 削除

 どうやら、削除キーを覚えていたおかげで、三分割の「濁った銀色の匙」を削除できたようです。新しく「灰褐色のコンクリート」を投稿しました。ウーム、なんて読みにくい話なんだ。




灰褐色のコンクリート
投稿日 4月2日(日)17時07分 投稿者 小田牧央 削除


 不眠症の原因というのはいろいろとあるのだろうが***国への抑留体験を持ち今年八十二歳になろうとしている私が眠れなくなるのは蒲団に入りうつらうつらとしたところで鶏の鳴き声が聞こえるからでどういうことかと言うと少しばかり長い話になるが***国の強制収容所での一日は点呼から始まり砂色の瞳の兵士が鞭を手にして私達をコンクリートが剥き出しの壁の前に裸足で一列に並ばせると数百人もいた私達だから一番端の仲間が自分の番号を叫んでも全然聞こえなくてそのうち冷たいコンクリートに素足が紫色になり震えがとまらなくなって脳味噌まで縮こまってしまいそうになるうちにやがて遠くから番号を叫ぶ声が聞こえてきたのだけど日々の労働の疲れと睡眠不足から頭の芯がボーっとなって駄目だ駄目だ自分の番号が言えないと奴らに殴られるぞ反逆の恐れありとみなされ銃殺だ奴らにとっちゃ俺達なんぞ数が減ってくれたほうがいっそ管理しやすくてありがたいくらいなんだからななどと自分を叱咤するのだけれども次第に身体がふらふら揺れてきて瞼を閉じてしまいそうになって時々目の前を往復する自動小銃を肩に担いだ兵士のニヤニヤ笑いにハッとなってドンドン号令の声が大きく大きくなっていくのを感じながら必死に身体を立て直すのだけど豆だらけの掌の痛みも骨肉の軋みも全てが遠く感じてウツラウツラしていると不意に、鶏の鳴き声がした。
 号令が、とまった。
 床に、私の隣に立っていた仲間が、後頭部に穴を開け、うつむけに倒れている。
 灰褐色のコンクリートに、音もなく赤黒い染みが広がる。
 まるで、とさかのようだ、と思う間もなく、私は自分の番号を叫ぶ。
 そして号令は続き、遠ざかり、聞こえなくなっていった。




濁った銀色の匙
投稿日 4月2日(日)17時07分 投稿者 小田牧央 削除

 生々しい臓物のようなラザニアに銀色のスプーンをズヌリと差し込んで、赤いトマトソースに恍惚としながら私は、五歳の子供が涎を垂らしながら前掛けをベトベトに汚して頬張るミート・ソース・スパゲティを思い浮かべていた。
(おいちいよ……おいちいよ……)
 真昼のファミリーレストランは家族連れで騒がしくて、シャンゼリゼ大通りの原色に溢れるイラストレーションも眉をしかめて耳を塞いでいる。なぜかしら、子供の泣き声は快いのに。
 喉奥から喜びがこみあげて口内がムズムズする。舌先を上唇の裏に押しつけると、ジュワジュワ唾液が滲みでてきた。涙腺が緩んでツルツル暖かい水が頬を流れてポタポタとラザニアの上にこぼれ落ちる。私は涙ごと掬ったラザニアを口の中に頬張って、息苦しさに胸が詰まりそうになりながらハイヒールで床をたたく。黒猫のタンゴ。エンドレスなリズム。私の可愛い坊や。
 立ち上がってデパートの紙バッグを右手にレシート左手に掴んでレジに行き料金を払って表にでようとしたところで席待ちをしていた親子連れの小学校低学年くらいの兄弟の丸坊主の頭をポカリポカリとゲンコで殴りつけてやって悲鳴みたいな泣き声にウットリしながら泡立つような笑いを抑えきれなくなった。
「フフフ……アハハ……アハハハハ……」
 晴れ渡った空を鋭角に切り取るビルの連なり、機械的な動作で寡黙に行き交よう人々、酸欠状態の帰り道を酩酊して突き進む。紙バッグを左右の手に持ち替えながら時々空を見上げて立ち止まり、またうつむいて歩き出す。マンションに戻るとエレベータに乗りグングン上昇して、エレベータを下りて私の部屋の前まで来ると鍵を取り出そうとしてハンドバックがないのに気付く。どこに置き忘れたのだろう。
 紙バッグの中かもしれない。左右に紙バックの口を広げようとして、うっかり指を滑らせ、落とした。チャリンと金属音がして、いつの間にか紛れ込んだ、あのレストランのスプーンが転がりでる。
 紙バックの口から、青白い、小さな、握り拳も、はみでていた。
 私はスプーンを拾って口の中に入れる。砂利がついてしまったのか、チーズと金属の味が混ざっていた。




ありがとー!
投稿日 4月2日(日)17時04分 投稿者 小田牧央 削除

ひろぽんさん:
> 投稿文字数制限を10倍(10KB)にしておきました。(笑)

 どーも無理なお願いしてすみません。
 さ、さすがに10KBの投稿はしないですけど(笑)。

> ご要望があれば、3分割投稿のログをつなぐか、
> もしくは完全版を再投稿されれば削除しておきますよ。

 あ、では「濁った銀色の匙」だけ再投稿しておきます。では、よろしくお願いします。




まほのうた
投稿日 3月30日(木)19時48分 投稿者 藤原真秀 削除

黒き蟲
這いずる如き
音立てて
火を吹き心の
脱け殻は燃ゆ




オドリコ
投稿日 3月26日(日)17時00分 投稿者 知弥 削除

僕の唄に合わせて女はオドル・・・。
楽しげに。楽しげに。
唄が終わった後の
異常な静けさも予測する事無く・・・。
僕の唄に合わせて女はオドル・・・。




>小田牧央さん
投稿日 3月25日(土)01時33分 投稿者 ひろぽん 削除

どうもすいません。
投稿文字数制限を10倍(10KB)にしておきました。(笑)
CGIの設定、デフォルトのままだったんですよ(^^;

ご要望があれば、3分割投稿のログをつなぐか、
もしくは完全版を再投稿されれば削除しておきますよ。




近詠
投稿日 3月23日(木)19時43分 投稿者 藤原真秀 削除

己が手で
はりなる心の
内側を
爪で音立て
引つかいている




投稿日 3月19日(日)02時52分 投稿者 ルビ 削除

彷徨える魂は毎夜願ふ
早く殺してと毎夜願ふ
張り詰めた空気の真冬空
闇夜を見上げ星空に
ゆらりゆらりとただ彷徨う




『スレッド』
投稿日 3月16日(木)16時49分 投稿者 よーこ 削除

どこかでほころびてしまったあたし
長く長く こぼれてゆく糸が
誰かの傍をすりぬける ’ぴん’と音がしたら
その先は 君の手にとどくといい

どこかでほころびてしまったあたし
長く長く 糸がこぼれてゆき
誰かわからなくなる ’するっ’と音がしたら
その先を 君がたぐってくれるといい

どこかでほころびてしまったあたし
長く長く こぼれてゆく糸が
誰かの手をすりぬける ’かたり’気がついたら
君の笑顔が そこに転がってるといい

遠く遠くから あたしも
笑いかけよう ほころびたまま

http://www.eva.hi-ho.ne.jp/yoko-i/95j022/




鈴(彼女の存在意味) その@
投稿日 3月16日(木)16時28分 投稿者 藤原真秀 削除

 彼女はうずくまって,瞳のみを開き何かを見つめていた。
腕でひざを抱いて,自分のこの感情がこれ以上,外へと流れ出さない様に。
自分と世界を隔てるために,瞳を開き続けた。
 そうしていれば,外から傷つけられたとしても,自分が外を傷つけることは少ない。
水分を含んだ瞳こそが,その他の世界を遮断し,彼女を食い止めている。
流れる涙は最大の鎧なのだ。
日々,涙の鎧を作り出すことが,彼女を守った。




ひろぼんさんにお願い!
投稿日 3月11日(土)21時52分 投稿者 小田牧央 削除

 お頼みしますじゃ〜、投稿できる文字数をもうちょっとばかり増やしてくださりませぬか〜。
 さすがに3つにも分割すると全然雰囲気がでないよ〜(泣)。

 コメントついでに書いてしまうと、いま、このページでは<※削除>さんの「赤い月」がいいですね。出だしがうまい。藤原真秀さんの、こういう「切なさ」系にも弱い。夢野の「春の夜の……」という句を思い出す。




月の舟
投稿日 3月11日(土)04時04分 投稿者 知弥 削除

夢に見た
月の舟の乗り方を
彼女に教えて
そっと首を噛む

http://dogramagra.tripod.co.jp/




10月12日
投稿日 3月10日(金)03時20分 投稿者 shimonaka 削除

10月12日 

ケフは世界のユユシキ象ニナル夢にウナサレル  

10月13日

   ジャマランカ ニッチャ
   イモ喰エ アスハ雨ナヤ
   皇国ノ果テ
   ジャマランカ




10月12日
投稿日 3月10日(金)03時16分 投稿者 shimonaka 削除

10月12日 

ケフは世界のユユシキ象ニナル夢にウナサレル  

10月13日

   ジャマランカ ニッチャ
   イモ喰エ アスハ雨ナヤ
   皇国ノ果テ
   ジャマランカ




私の短歌....
投稿日 3月5日(日)10時57分 投稿者 藤原真秀 削除

今ひとり胸の想いの苦しきにただ君の手に殺められたし




空缶
投稿日 3月2日(木)18時43分 投稿者 ひろぽん 削除

転がる空缶がカラカラカランと泣いている
自動車にフンづけられて潰されて
流す涙もかき消されてゆく

ごみ箱に残された同士たちは
助かったとばかりに一息・・・
やがて清掃車の向かいが来る




投稿日 3月3日(金)00時09分 投稿者 chee-ya 削除

今度こそ・・・
思いながらも又、
白き首が僕を惑わす。
「もう君で終わりにするから・・・」
君の頬に苦悶の涙。
僕の頬に歓喜の涙。

http://dogramagra.tripod.co.jp/




無題
投稿日 3月2日(木)21時55分 投稿者 田中 整 削除

我愛でし奴から順に食らふ癖
笑みし口端に銀朱の尾鰭




青い箱の石鹸(2)
投稿日 2月24日(木)05時10分 投稿者 小田牧央 削除

(石鹸……石鹸……)
 まったくゆとりのないことだ。女に一言悪態をついて部屋を出てエレベータに乗りフロントを過ぎて夜更けの街路に立つと、ひどく風が冷たかった。濡れたままの前髪が眼を突き刺し、濡れているワイシャツが体感温度を奪う。
(石鹸……石鹸……)
 ドラッグストアを探すには三ブロック歩かなければならなかったがそれで済んだなら幸いで、店に入り目立たないように髪を整えながら青い箱に牛のマークの石鹸をひとつ掴んでレジに向かった……しかし、レジに近づくと、レジの女性店員がひどく怯えた眼でみつめている……さりげない動作でネクタイをなおしながら石鹸の箱を差し出す……。
「これ……ひとつ」
 甲高い悲鳴がした。
 店員が叫んでいる。クルリと回れ右してレジから逃げ去る……だが、視線は店員を追うことができなかった。青い石鹸の箱を持った手……血塗れの手。
 記憶の底で、あの女がポワリと湯船にあぶくを浮かべた。




青い箱の石鹸(1)
投稿日 2月24日(木)05時09分 投稿者 小田牧央 削除

 こうしてはいられなかった。どうにかしなきゃならない。
 小さな街のホテルで、ジジジジ音を立てて明滅する黄色く濁った剥き出しの蛍光灯の下で、拭っても拭っても曇っては曇る鏡の奥に、血走った眼が睨み返した。ドッドドッドと湯が小さなバスルームに流れ込んで溢れ出て、小指の先程にバスルームは浸水状態だ。
 こうしてはいられない。石鹸はどこだろう、手を洗わなければ、病気がうつってしまう。
「おい」
 バスルームに首まで浸かって天井を見上げる女はポッカリ口を開けて返事もせずにプカーリプカーリ。
「おい、おい、おい……石鹸はどこだ」
 プカーリ、プカーリ、茶色い髪が浮かんで。首が沈んで。
「おいったらおい……なんてこった」
 汗だらけのワイシャツに緩んだネクタイで頭を掻きむしってバスルームを飛び出てベッドから上着をつかみ(もちろん財布を確かめるのを忘れなかった……あんな女は信用できない)濡れた靴下は気持ち悪くて脱いだら思い切りよく屑籠に放り込んだ。




千円札
投稿日 2月22日(火)15時36分 投稿者 ひろぽん 削除

遊ぶ金欲しさに強盗したら
千円札にシルシがあった
子供の頃に私の付けた

過去の自分の
ささやかな警告





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